宮城県社会福祉協議会で講演~クレーム対応研修~
2026年06月30日
2026年6月9日、宮城県社会福祉協議会様主催の「クレーム対応研修」を担当させていただきました。当日は県内の福祉施設から約60名の職員の皆さまにご参加いただき、日々の現場で直面するクレーム対応について、実践的に考える一日となりました。
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今回の研修で特にお伝えしたのは、「すべてのクレームが問題行動ではない」という視点です。現場ではクレームという言葉に身構えがちですが、その中には、サービス改善につながる重要な要望が多く含まれています。たとえば、説明不足への指摘やケアの質への不安、関わり方への意見などは、利用者さんやご家族が施設に期待しているからこそ出てくる声です。
一方で、すべてに応じればよいわけではなく、特別扱いの要求や職員個人への過剰な要望、ルールを逸脱した対応の強要などは、明らかに対応の範囲を超えています。こうした背景を踏まえ、クレームは大きく二つに整理できます。
✅ 要望型クレーム:改善につながる、対応すべきもの
✅ 理不尽な要求 :組織として線を引く必要があるもの
では、その境界線はどこにあるのでしょうか。研修では、現場で判断するための軸として、次の3点を共有しました。
✅ 施設のルールや契約の範囲内か
✅ 他の利用者との公平性が保たれているか
✅ 職員の負担が通常業務の範囲内か
さらに重要なのは、「内容」だけでなく「伝え方」にも着目することです。
同じ要望であっても、威圧的な言動や執拗な繰り返しがあれば、職員に大きな負担を与え、カスタマーハラスメントへと変わります。
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研修では具体的な事例をもとに検討も行いました。
たとえば、面会時間外に来所し「お金を払っているのだから対応すべきだ」と強い口調で詰め寄るケースや、「あんたでは話にならない」と職員個人を否定する発言、さらには30分以上の電話を繰り返し業務に支障が出るケースなどです。
こうした事例を通して、「これはクレームか、カスハラか」を受講者同士で議論しました。
また、対応の結果を大きく左右するのが初動対応です。
クレーム対応では、正しさよりもまず受け止め方が重要になります。
相手の話を遮らず聴くこと、感情を否定しないこと、そして共感を先に示すことが、二次クレームの防止につながります。
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福祉の現場では、「応えなければならない」という責任感の強さから、無理な要望でも抱え込んでしまう傾向があります。しかし、重要なのは「丁寧に対応すること」と「すべて受け入れること」は違うという点です。寄り添いながらも、対応の範囲を明確にする必要があります。
そして何より、カスタマーハラスメントは個人で対応する問題ではありません。
記録し、共有し、組織として判断することが重要です。職員を守ることが、結果としてサービスの質を守ることにつながります。
クレームは、トラブルの原因にもなれば、改善のきっかけにもなります。だからこそ、適切に受け止め、冷静に判断し、組織で支える。このバランスが、これからの現場には求められています。
宮城県社会福祉協議会の皆さま、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。現場での実践に少しでもつながれば幸いです。
栃木県社会福祉協議会で講演~テーマは離職防止対策~
2026年06月20日
2026年6月8日(月)、栃木県社会福祉協議会様主催の「福祉・保育人材 採用力UPセミナー」にて、「出口対策(離職防止)」の講義を担当させていただきました。
当日は、高齢者施設・障がい者施設・保育・児童施設など、多様な分野から約35名の皆様にご参加いただきました。
本セミナーは「入口対策(採用)」と「出口対策(定着)」の両輪で人材確保を考える構成となっており、「入口対策(採用)」は、株式会社アーチーズの伊藤沙耶氏が担当。弊社は、「離職防止」に焦点を当てた内容を担当しました。

■ 離職防止は「引き止め」ではなく「辞めたくならない職場づくり」
講義の中で最も強調したポイントは、離職防止は“辞める人を止めること”ではないということです。
大切なのは、「辞めたい」という気持ちが生まれない職場をつくること。
そのためには、現場で起きている離職の要因を正しく捉える必要があります。
■ 福祉・保育現場に共通する離職の背景
研修では、現場で多く見られる離職要因を整理しました。
✅ 人間関係やコミュニケーションの問題
✅ 業務量の多さ・責任の重さ
✅ 賃金や評価への不満
✅ 将来の見通しの不透明さ
✅ 感情労働による心身の疲弊
特に福祉分野は、「感情労働」が避けられない仕事です。
利用者や家族への対応において、自分の感情を抑えながら関わることが求められる場面が多く、それが蓄積されることでストレスやバーンアウトにつながることもあります。

■ 「働きやすさ」の前に「働きにくさ」を解消する
「働きやすい職場づくり」がテーマになりがちですが、実はその前に必要なのは、働きにくさ(不満要因)を取り除くことです。
講義では、フレデリック・ハーズバーグ(Frederick Herzberg、1923‐2000)の二要因理論をベースに、
✅ 労務管理(制度・環境の整備)=不満を減らす
✅ 人事管理(関わり・育成)=意欲を高める
という2つの視点から整理しました。
■ 現場を変えるのは「日々の関わり」
特に参加者の皆様から反応が大きかったのは、管理職・リーダーの関わりに関する内容です。
例えば、
✅ 「ほめる・認める・感謝する・ねぎらう」を具体的に伝える
✅ 面談の仕組みを活用して職員の声を拾う
✅ 相談しやすい雰囲気を日常からつくる
これらは特別な制度ではなく、日々の関わりの積み重ねです。
そしてこの積み重ねこそが、職場の「当たり前の空気」をつくり、離職に大きな影響を与えます。
■ 「3つの欲求」を満たす職場が定着を生む
まとめとしてお伝えしたのは、クレイトン・アルダファーの提唱したERG理論(Clayton Alderfer)に基づく「3つの欲求」です。
✅ 安全に働ける(存在欲求)
✅ 良好な関係がある(関係欲求)
✅ 成長できる(成長欲求)
この3つが揃うことで、職員は「ここで働き続けたい」と感じるとのこと。
逆にどれか一つでも欠けると、離職のリスクは高まります。
人材不足が深刻化する中、採用(入口)だけでは組織は成り立ちません。
これからは、「入りたい職場」だけでなく、「続けたいと思える職場」をいかに作れるかが
ご参加いただいた皆様、そして企画・運営いただいた栃木県社会福祉協議会様、誠にありがとうございました。
青森県看護協会 中弘南黒支部で講演~テーマは、「限界を超える前に~カスタマーハラスメント~」~
2026年06月14日
令和8年6月6日(土)、弘前学院大学にて、令和8年度 青森県看護協会 中弘南黒支部 看護学習会が開催され、講師として登壇させていただきました。

今回のテーマは、「限界を超える前に」~カスタマーハラスメントに気付き行動する力~です。
日々の現場で起こりうるカスタマーハラスメントについて、早期に気付き、適切に対応するための視点と行動について、事例を交えながらお伝えしました。
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■ 「限界を超える前に」気付くことの重要性
研修ではまず、カスタマーハラスメントは突然深刻化するのではなく、徐々にエスカレートしていく特徴があることを共有しました。
例えば、
✅ 声が徐々に大きくなる
✅ 同じ話を繰り返すようになる
✅ 対応時間が長くなる
✅ 個人を特定した発言が増える といったサインは、いわば「前兆」です。
限界を超えてからの対応は、現場への負担も大きく、組織としての対応が必要な事態へと発展しやすくなります。
■ カスタマーハラスメントは「職員を守る取り組み」
本研修で特にお伝えしたのは、カスタマーハラスメント対策は、単なるクレーム対応ではなく「職員を守る取り組み」であるという点です。
現場では、 「利用者対応だから仕方がない」 「もっと丁寧に対応すべきだったのでは」と、職員個人の努力に委ねられてしまうことも少なくありません。
しかし、明らかに過剰な要求や暴言や威圧的な言動、業務範囲を逸脱した要求に対しては、適切な線引きが必要です。
それは「サービスの質を下げる」のではなく、職員の安全と尊厳を守るための必要な判断です。

■ 心理的安全性が現場を支える
もう一つ重要な視点が、心理的安全性の確保です。
職場の中で、「この対応でよかったのか不安」、「あの言動は気になるが、相談しづらい」、「自分の対応力が足りないのではないか」と感じながらも、声を上げられない状態は、非常にリスクが高い状態です。
こうした状況が続くと、
✅ 問題の見過ごし
✅ 対応の遅れ
✅ 職員の疲弊・離職 へとつながってしまいます。
だからこそ、「気軽に相談できる」「早く共有することが評価される」といった心理的安全性の高い職場づくりが不可欠です。
■ 管理職・リーダーの役割
心理的安全性を支えるために重要なのが、管理職・リーダーの関わりです。
✅ 早期相談を歓迎する姿勢を示す
✅ 「よく相談してくれた」と承認する
✅ 一緒に対応を考える
✅ 組織としての対応方針を明確にする
といった関わりが、現場の安心感を生み出します。
管理職の一言や姿勢が、 「この職場で働き続けられるか」を左右することも少なくありません。

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カスタマーハラスメント対応は、
✅ 早期に気付く力
✅ 適切に行動する力
✅ 組織として支える体制
この3点が鍵となります。
そして何より、それは「職員を守る取り組み」であり、「心理的安全性を担保するための重要な経営課題」でもあります。
今後も、現場で安心して働き続けられる環境づくりに向けて、実践的な研修をお届けしてまいります。
青森県内で貴重な講演の機会をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。
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