個人目標の点検ポイント②~高すぎる目標、低すぎる目標の判断(人事評価シリーズ35)
2020年02月05日
人事評価シリーズ34では、目標のレベルの判断基準について書きました。基準は理解したものの、それがスタッフの役割やレベルに対して妥当なのかという判断をどのようにすればよいのかという悩みが次の課題です。
スタッフのレベルは目に見えない、可視化しにくいことですので、妥当かどうかはやらせてみないことにはわかりませんし、一生懸命に取り組んでやっと達成できたことと、いとも簡単に達成できたとでは、全くレベルは異なりことになります。
一生懸命に取り組んでも到底達成できなかったとなると、スタッフにとって「高すぎる目標」ということになりますし、いとも簡単に、そしてあっという間にやり遂げたとなると「低すぎる目標」ということになるでしょう。
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目標が「低すぎる」のか、「高すぎる」のかの判断として、取り組む期間があると思います。
「低すぎる目標」とは、1年間で取り組む目標を立てたにもかかわらず、半分の期間の6ヶ月もかからずに達成してしまう目標です。短い期間で達成できたということは、そのスタッフのスキルに対して簡単に取り組める目標であったことが考えられます。ですので、目標設定時に、「スタッフが一生懸命に取り組んだとしたら、最短どれぐらいの期間で達成できるのか」を、行動計画を点検して想定してみてください。
もし、すぐに達成できそうだなと思ったときは、設定した目標の「習熟度を高める(深まり)」もしくは「範囲を広げる(広がり)」ことで期間を延ばしてみて下さい。
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例えば、看護師さんの「採血」という仕事があります。針の指しやすい太いまっすぐな血管であれば、できるようになるまでそれほど期間がかからないかもしれませんが、未満児や血管が細くて出にくい人の採血はそれなりに経験を重ねる必要があるでしょう。そうすると、「採血」という仕事でも、あらゆるタイプの血管からの採血ができるようになるというのは、期間が必要になってきます。深まりと拡がりによって、期間を延ばすことができるということです。
「低すぎる目標」と判断したとき、別の目標に差し替えるのも一つの策ですが、それではスタッフの設定した目標を否定することになってしまいます。できればスタッフが自分で設定した目標を尊重して、深まりと拡がりを持たせることでやる気とスキルをさらに伸ばす方策のほうがよいのではないかと思います。
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一方、「高すぎる目標」は、量的にも質的にも一人で実行するには無理な目標です。
「高すぎる」と判断したとき、レベルを下げるのかというと、そうではなく、スタッフが設定した目標を高すぎるならば、サポートするのが管理者の役割です。より高い目標に挑戦しようとする意欲を尊重し、取り組ませたいものです。
目標は、「取り組みたい」という気持ちがあって取り組めるものです。「高すぎる」としても、やる気を尊重して、管理者として、何をサポートすればよいのか、いつサポートすればよいのかを面談で確認するとよいでしょう。
ただし、気を付けたいことは、患者さんに危険性が及ぶようなこと、他メンバーや他部署に支障がおよぶかもしれないと思うことが少しでもあるならば、「〇〇のことをするときは一声かけてからやってくださいね」とリスク管理をするのも管理者の役割だと思うのです。
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取り組む期間だけが判断基準とは言い切れないことはあると思います。しかし、可視化できないスタッフのレベルのことを勘案すると、可視化できる判断基準として使うのも”あり”かもしれません。
個人目標の点検ポイント①~目標レベルの判断基準(人事評価シリーズ34)
2019年12月25日
スタッフから個人目標シートが提出されたとき、「果たして、記入されている目標はスタッフのレベルに見合った目標なのか」と判断に迷う管理者がほとんどだと思います。「レベルに見合っているのか」は、「立ち位置」に対して見合っているのかということだと思います。
そもそも目標とは、自分の立ち位置に対して、ちょっと背伸びして頑張った結果、新たなことが身についた、新たな経験を得ることができた、目の前にある課題を解決したなど、ある程度の困難が伴うものです。そうなると、今のスキルや経験で、スタッフ自身が軽々とできることは目標とは言い難いということになります。
となると、目標は、①現状の把握(問題)、②期待値の確認、③①と②のギャップの埋め合わせの手順で設定します。①現状の把握(問題)をするとき、管理者は、ⅰ)現状の立ち位置とⅱ)期待する立ち位置を定めることが重要です。
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立ち位置の判断基準になるものとして、次のことが挙げられます。
①年齢
②在職年数
③保有資格
④役職
⑤職務経験(現行職種での職務経験、社会人経験)
⑥知識・技術などスキル
⑦過去の目標設定状況、評価結果状況
①~④までは、スタッフの属性になりますので、可視化されていて明確な立ち位置や役割ですので、「ものさし」としてはメモリがハッキリしています。しかし、⑤の職務経験はこれまでの経験といっても、過去の仕事の仕方を見たわけではないので測定不能、⑥のスキルはまさに仕事をやってみて身についているかが判断できることではありますが、判断する人が違うと異なる結果になることも多々あります。⑦の評価も人が評価したことですから、人によって評価基準が全く同じとも言えません。
人事評価と同様に、目標のレベル評価は⑤~⑦の要素がそれを難しくしていることを理解した上で、⑤~⑦の判断基準をできるだけスタッフに明示できることが大切です。
例えば、人事制度を導入しているのであれば「等級定義」がそれに相当します。ラダーも同様です。
【等級定義の例示】
また、これだけでは一般用語の羅列になってしまい、解釈するのが難しいこともありますので、事例を示すことも必要です。
【等級定義に合わせたレベルの違い】
事例で示すとおり、医療・福祉の現場において、目標のレベルの違いは、同じ仕事でも「習熟度の違い」で設定することが「質の高まり」につながるのだと思います。「クレーム対応」でも、クレーム内容の困難度によって対応の深まりが求められます。あらゆるクレームに柔軟に対応できるようになるためには、それなりの経験、テクニック、スキルが必要になりますから、その深まりを設定することが目標のレベルになるわけです。
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目標レベルの判断は、「これが確実に正しい」ということは言い切れませんが、判断基準である等級定義やラダーを示すことによって、スタッフ自身が自分の立ち位置を認識して、目標だけではなく日常の仕事も相応のレベルの仕事をしてもらうことを示すことにもなります。
スタッフのレベルに見合った目標を立てることを目的にするのではなく、立ち位置を理解、認識して普段の仕事に臨んでもらうということも期待できることですので、目標設定時には毎年示すことをしていただきたいと考えます。
評価面談は価値基準のすり合わせ(人事評価シリーズ33)
2019年10月10日
上期の人事評価の時期になりました。多くの組織ではちょうど評価面談をすすめている頃だと思われます。
評価面談は、評価結果を伝えることだけが目的ではないことは周知のことと思いますが、大切な目的の一つに評価者(上司)と被評価者(スタッフ)の仕事をするときの「価値基準」のすり合わせがあると思うのです。
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人は、それぞれ仕事をするときに「大事にしていること」が異なります。「大事にしていること」=「価値観」です。病院であれば、とにかく患者さんに寄り添うことを大事に仕事をしているスタッフもいれば、時間効率やコスト効率を大事にして仕事をするスタッフもいます。時間効率を大事にするスタッフにしてみると、「そんなに患者さんと話してばっかりいないで、仕事進めてよ」と思うかもしれません。反対に、患者さんに寄り添うことを大事にしているスタッフにしてみると、「事務的に患者さんに対応するのはどうなの?」と思うかもしれません。
これが上司とスタッフだったらどうでしょう。上司が大事にしていることとスタッフが大事していることは当然異なる訳ですから、大事にしていることをお互いにすり合わせておかないと、いつまで経ってもスタッフは上司から認められないままになってしまいますし、スタッフも認められないことによる不満や不信を持ち続けることになりかねません。
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「価値観」は同じにすることはできませんが、すり合わせをすることはできます。その時に大切なのは、お互いの大事にしていることを「同じ」にしましょうではなく、その組織の枠組みの中でどうすり合わせをすればよいかを考えることです。私はそれが評価面談のタイミングだと思っています。
その時大事なのは、お互いの大事なことをを組織が求める枠組みに照らし合わせることです。枠組みとは、ルールや基準です。評価面談とは、評価の食い違いが生じたときに明文化されたルールや基準を「同じ場所、同じ時間、同じもの」で双方が確認する場、機会だと思うのです。
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組織で仕事をするならば、そこでのルールや基準の枠組みがあって、初めて自分の大事にしていること(価値観)を使えるということを忘れてはいけないと思います。
評価面談はお互いの大事にしていることの違い、組織のルールや基準の枠組みを確認する絶好の機会ではないでしょうか。
組織目標と個人目標をつなげる3つのキーワード~意味のつながり~(人事評価シリーズ32)
2019年09月14日
目標管理を実践する上で最も大切な「組織目標のブレイクダウン」。言葉では簡単に言えますが、それがまた結構大変なことは現場の皆さんが一番実感していることだと思います。
組織目標を個人へブレイクダウンするとき、丁寧にブレイクダウンすることが組織目標達成のポイントになることを今一度確認してみましょう。
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ブレイクダウンとは、組織目標を達成するための具体的行動計画をスタッフそれぞれに分担し、スタッフはその役割を計画的に実践すること、その寄せ集めが最終的に組織目標達成につながるという構図です。
そうなると、組織目標と個人目標をつなげ続ける必要があるということです。そのためには3つのキーワードがあります。
それは、
☑ 意味のつながり
☑ 行動のつながり
☑ 意識のつながり
です。
今回は1つ目の「意味のつながり」についてです。
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① 意味のつながり
役割分担で割り当てられたことをしっかりとこなしてもらうためには、スタッフに対して、何故その役割をしなければならないのかという動機付けが必要となります。組織目標は、スタッフ自身が立てるのではなく、組織の側から与えられるものであり、スタッフには「是非やりたい」という動機付けが希薄になりがちです。動機付けがされないままですと、組織目標へのコミットが足りないがために組織目標の一部が欠如してしまい、結果として達成しにくい状況に陥ります。
となると、まずは組織目標が立案された意味(背景や理由)をスタッフに伝えることが第一ステップとなります。
例えば、収益改善で○○億収益確保という目標だけ掲げても、何故その金額なのか、今収益確保する理由が何なのかがわからないと、目標達成できなかったときの危機感が伝わりません。ましてや、赤字経営であれば、尚更「赤字だから収益確保をしないといけないんだ」という状況を伝えることは必須な訳です。
組織運営において、現状とその背景、見通しを考えて今必要な目標であることを伝えることが「意味のつながり」です。
さらに、言うならば、部門もしくは部署長がしっかり自分のことばで伝えてほしいものです。「病院が決めたことだから、あなたにこの役割分担ね」と言われると、スタッフの側からすれば「忙しいっていうのに・・・上司のあなたがやればいいでしょ。病院の経営は上の人の責任でしょ」という気持ちになりかねません。
また、「院長が言ってるんだから、やらざるを得ないでしょ」もタブーです。これを言ってしまったら、「上司のあなたも嫌がっていることを私たちスタッフに押し付けるっていうことですね」という気持ちになるかもしれません。
これでは、動機付けではなく、やりたくないことの共有にしかなりません。まずは、現場管理者が組織目標の意味をしっかり理解し、スタッフに説明できること、目標管理はここから始まります。
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次回は、2つ目のキーワード「行動のつながり」です。
目標設定の考え方(人事評価シリーズ31)
2019年08月25日
「目標を立てることができない」という相談を受けた経験のある管理者は多いと思います。私も目標管理の研修でよく受けるご相談です。
役職についていないベテランスタッフが「一通り仕事はできるし、今さら新しいことを目指して頑張ってと言われても…」と言って、目標設定に消極的で困っているという相談です。
一方で、やみくもに「目標設定の時期だから、目標を書いて提出してください」と言われても、何を基準に設定してよいのかという言い分もあると思います。
目標を立てるときの考え方を伝えることで、それは解消できるかもしれません。
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目標を立てるとき、2つの考え方があります。
1つ目は、スタッフへの期待値に対して、現状と比較して、そのギャップを埋め合わせるために何をするのかが目標になるという考え方です。つまり、「発展型・成長型の目標の立て方」です。
「そろそろリーダーの仕事ができるようになってほしいので、今期はリーダーの業務を少し手伝ってほしいので、リーダーの補助的な仕事を目標にしてみてはいかがですか」というようなイメージです。
スタッフのスキルや経験から今の立ち位置(資格等級やラダーレベル)からどこまで成長してほしいのか、発展してほしいのかを示して、そのために何を経験して、どのようなスキルを身につけることを期待しているのかを伝えることで目標(具体的な行動計画)を立ててもらうという考え方です。
ポイントは、スタッフへの「期待値」を明確に示すことです。
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2つ目は、今起こっている問題、課題を解決するその解決策が目標になるという考え方です。「課題解決型の目標の立て方」です。
仕事で全く問題がないということはまずないと思います。何がしかの問題を解決することはどのスタッフにも求められる役割です。
ただ、問題にも種類があります。①事実上の問題、②システム上(仕組み)の問題、③作業上の問題です。
①事実上の問題とは、「これが解決しないと何もはじめられない」という問題です。次のようなことです。
○人手・人材がいない、足りない
○設備・備品がない、整っていない
○予算がない などです。
これは、経営者や上層部の人たちが解決する問題で、スタッフレベルが解決できる問題ではないので、スタッフの目標にはなりえません。
②システム上(仕組み)の問題とは、「決まりごとがないため、進めるのに判断ができない」という問題です。次のようなことです。
○システム(仕組み)がない
○コミュニケーションがとれていない
○制度が整っていない
○業務手順の効率が悪い、手順が定まっていない などです。
これは、現場管理者が解決する問題です。スタッフレベルの目標にするならば、補助的な作業をスタッフに分担することで目標として設定できるものです。
また、ベテランスタッフの場合、仕事をよくわかっているので、問題の内容によっては単独で目標設定できることもあるかもしれません。
③作業上の問題とは、「進め方を随時確認しておかないと障害、損失がどんどん膨らむ」という問題です。次のようなことです。
○壊れてしまった
○間違えてしまった
○進め方が正しくない
○なくなってしまった などです。
これは、日常的な仕事の手順が決まっているのに、間違えるということから、スタッフのスキル、理解度等が問題として発生しているので、スタッフが解決できるレベルの問題であり、目標設定が可能な問題です。
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1つ目の目標設定の考え方は、どちらかというと向上心があり、行動がとれるスタッフに対して示したほうがよいかもしれません。すべてのスタッフがいつも向上心があるとは限りません。頑張りたくても、家庭の事情があって頑張れないときもあります。体調不良が続いていれば、向上心があっても行動を伴うことができないこともあります。そのようなスタッフには、2つ目の目標設定の考え方で目標を探してもらうとよいでしょう。
「目標」というと、向上する、成長する、発展するイメージが強いのですが、実は今ある問題を解決することも目標となりうること、一つの考え方として取り入れてみてはいかがですか。
目標管理と人事評価は組織と人を守るリスク管理の側面も(人事評価シリーズ30)
2019年07月16日
目標管理や人事評価は、「もっと上を目指そう、発展しよう」とか「できる人を育てる」、「いい人材を確保する」、「スキルを磨こう」のように”上向き”なイメージだったり、できる人や成果を出すことを目的としたイメージが強い制度として捉えられることが多いと思います。ですので、あまり”上”を目指そうと思っていない人にとって、前向きに取り組もうする気持ちにならない制度でもあります。
目標管理や人事評価は、いいことを目指すということの一方で、組織と今いる人材を守るリスクマネジメントでもあると考えます。
企業がうまく経営、運営されている状態の指標として、顧客満足、従業員満足、経営満足という3者の満足が必要であることはよくいわれていることです。
「満足」な状態も必要なのですが、「不満」な状態、「不信」な状態を引き起こしていないかというチェック機能も必要だと思うのです。
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医療や福祉の現場は、国のお金が投入されているため、そのお金が適正に使われているのかというチェックが入ります。適時監査です。厚生局や保健所、労働基準監督署など法令や規則に基づいて、正しく使われているかというチェックです。このチェックは、組織の信頼性や社会的責任を果たしているのかという働きがあります。ですので、適時監査は、人事評価と同様に「法人として適正であるか」の”組織評価”のようなものなのです。
また、利益追求の組織ではありませんが、収益管理と品質管理が計画的に行われていなければ永続的な医療や介護のサービス提供ができません。そうなると、個人の役割を明確した目標管理が必要となってくるわけです。
「法人として適正であるか 」は、一人ひとりの職員が正しい仕事の仕方をしているのかが原点となります。そうなりますと、人事評価制度は、職員一人ひとりが法令や規則、組織の規程に基づいて仕事をしているのかという定期チェックの働きをしていることになります。
また、仕事が適正におこなれていたとしても、職員が心身共に健康な状態であるかという定期チェックも雇用主の責任でもあります。だから、健康診断やストレスチェックという定期チェックが働いています。
顧客(患者や地域)に対しては、不満な状態、不信な状態を引き起こしていないかというチェックは、組織の側から尋ねてみないことにはわかりません。ですので、患者満足度調査や意見箱の設置をして、「私たちの組織は、常に顧客の声に耳を傾けています」という姿勢、態度を表明しているのです。
組織として発展しよう、向上しよう、いい人材になってほしいという一方で、組織として適正な事業を展開しているのかというチェック機能として、目標管理や人事評価は活用されているということも大切な制度の機能であると思います。
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目標管理や人事評価は、
①現在の顧客(患者、地域)を守る
②今働いている従業員を守る
③将来の顧客と従業員を守る
ことにつながっているのではないでしょうか。
評価制度と目標管理制度の目的は腑に落ちる説明を(人事評価シリーズ29)
2019年06月22日
人事評価も目標管理もその目的を「人材育成と組織活性化」と規程等で定めている組織が多いと思われます。
人事評価シリーズ28では、「人材育成と組織活性化」を腑に落ちる内容で説明することが肝要であることをお伝えいたしました。
これまで延べ500件以上の人事評価者研修を通じて、次のように私自身は伝えています。
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「人材育成」ということば、「上から目線」のように感じませんか。私たちは、職場では役割の違いで上司と部下、先輩と後輩という立場はあるものの、「働く」という立場では平等であると思うのです。なので、私は「人材育成」ということばを「自分で自分を成長させること」と説明しています。
働く人はすべて同じ社会人です。同じ社会人という観点から、育てられるのではなく、自分ができないことは自分で教えてもらいに行く、勉強しに行くこと、わからないことは自分で訊きにいき、自分で理解できるまで努力することが自立した職業人だと思うのです。私は、それが最終的な人材育成の姿なのではないかと思っています。
よって、人事評価は自己評価がきちんとできる人(自分の仕事を自分で確認できる人)を育てることが一つの目的だと考えます。
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では、「組織活性化」はどうでしょうか。このことばも漠然としていて、何がどうなるのかがわかりにくいことばです。
人材育成は、「個(人)」が成長することに加え、どんなに「個(人)」が成長しても、所属している組織が経営不全では意味がありません。
「組織活性化」とは、「明日も組織が運営できること」だと思います。今日来てくれた顧客からいただいた収益は、明日くる顧客のために使うということ、つまりお金を循環させる仕組みを作っておくことだと思うのです。
組織が顧客にサービスを提供するためには「お金」が必要です。病院であれば、外来患者さんを迎え入れるためには、正面玄関を開けなければなりません。正面玄関が自動ドアだとすると、そこには電気代がかかっています。初診患者さんであれば、総合受付で簡単な問診ができる人を配置しておかなければならなく、人の雇用=人件費が必要です。さらにきちんと患者さんに説明できるだけの業務知識を教えなければなりませんから、教育費も必要です。
つまり、組織が明日も運営できる状態をつくるためには、計画的に収益を確保して、顧客サービス提供に必要な経営資源をやりくりすることが必要なのです。無計画では、いずれは破綻してしまいます。
そのために、「目標管理制度」という手段によって、年間の組織の運営計画をつくり、役割配置をし、各自が役割計画に基づいて実践できているかのチェックが必要なのだと思います。
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「人材育成と組織活性化」と言われると漠然とわかったような気になりますが、実は上記のように現場のスタッフが理解できるような、そして更に腑に落ちるような説明をすることに手を抜いてはいけないと思うのです。
皆さんの組織はいかがでしょうか。
スタッフの腑に落ちる説明は、人材育成と組織活性化だけではなく、私はそのスタッフの組織コミットメント(だったら、この組織にいたい!と言う気持ち)にもつながるのではないかと思っています。
人事評価と目標管理の目的を伝えることの大切さ(人事評価シリーズ28)
2019年05月30日
人事評価制度や目標管理制度。スタッフにとっては「めんどくさいな~」と思われる制度ですし、できればやりたくな制度であることは否めません。
また、経営側もスタッフが嫌がる制度をやらずとも、経営・組織運営・人が育つのであればやりたくないはずです。しかし、そういはいきません。複数の人が集まるということは、考え方の違いもあり、やりたいこともそれぞれです。一つの組織に属するならば、一つの目的をもって、誰かに貢献することをするのが組織です。
その一つの目的をもって進むとなると、目的を作ってそれをスタッフに伝える人、目的のために誰が何をするのかを指示する人、与えられた役割を着実にこなすメンバー、こなすことができないのであれば教える役割の人、そしてこなした結果は正しかったのかを点検修正する人…のように役割と分担が必要になります。
この役割と分担とやり方を人事評価制度と目標管理制度を使って、動かしているということなのです。
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一般的に、人事評価や目標管理の目的は、人材育成と組織活性化と言われています。おそらく皆さんの組織の人事評価制度規程にはそのような類の目的が明示されていると思います。
しかし、「人材育成と組織活性化」ということばは、言われるとわかったつもりになりますが、具体的にどのような効果があるのかが非常に見えにくいことばでもあります。要は、目的をわかったつもりでいても、具体的にどのようないいことがあるのかがわかりにくいということです。また、「人材育成と組織活性化」と言われると、制度に反対のしようがないというのも現実です。あまり積極的に取り組みたくない気持ちがあると、”適当に”制度に関わればいいぐらいに思う人が出てくることも考えられます。
だからこそ、スタッフに納得のいく、腑に落ちる目的と効果を伝えることが肝要なのです。
人事評価表の「ことば」を活用した動機付け(人事評価シリーズ27)
2019年05月08日
人事評価表は、一般的な文言、文章で表記されています。例えば、「報告、連絡、相談はタイミングよく行われていたか」とか、「相手に対してわかりやすく説明できていたか」とか、「決められた期日までに仕事をやり終えていたか」などです。
一般的な表現であるため、自己他者ともに評価するとき、なんとなく「できれるんじゃないかな」とぼんやりした感じで評価しているように思います。わかっているようで、あまり具体的に考えずに評価しているのは否めないのかと思っています(私自身もそういうことがありました)。
「報告、連絡、相談のタイミングがいいってどういうとき?」
「”わかりやすく”ってどういう言い方がわかりやすいの?」
正直なところ、突っ込んで訊かれると応えられない評価者の方々もいるように思われます。
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人事評価シリーズ6「評価するときに気を付けたい3つのこと」でも書きましたが、評価するときは「自己評価も他者評価も具体的な事実があって、評価できること」、「仕事に関する事実があること」が原則です。
実はぼんやり評価している一般的な用語の評価表の文章は、動機付けに使うことができるのです。
例えば、このような使い方です。
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評価表に「患者・家族にわかりやすいく説明できていたか」(表現力)という項目があるとします。
評価のフィードバック面接で、「表現力」を褒めようとしたとき、次のような具体的な事実を伝えます。
「患者さんや家族に入院時の説明のとき、一方的に説明するのではなく、不明なことや不安なことがないかを確認しながら説明できていたし、あなたの説明を聞いて、患者さんも家族も入院するにあたって不安がなくなったと言っていましたよ」
これはこれで具体的で「あの時の説明のときだな」と褒められたスタッフはいつのことなのかを思い出すことができて、嬉しい気持ちになると思います。
この具体的な事実にさらに、「患者・家族にわかりやすく説明できていて、表現力があるということですよ」と評価表の文言を付け加えることで、一つの事実だけではなく、「表現力」というスキルを認められることになります。
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一般用語で書かれている評価表の文言は、そのスキルを認めているというメッセージに活用することができますし、スタッフ自身も保有スキルを自認することができるのです。
また、具体的事実と評価表の文言を使って褒めることは、スタッフの成功体験として残り、以後、言われなくても褒められたことの繰り返し行動につながるということです。
評価表を使っての動機付けとは、よりよいことを褒めることでの繰り返し行動を起こさせることなのです。
人事評価者研修公開講座の動画一部公開です!
2019年04月20日
今年2月に神戸で開催した人事評価者研修公開講座の様子を動画にいたしました。
この講座は、院内で人事評価者研修がなかなか実施できない、実施しようにもどのような内容で実施すればいいのかがわからない等のお声をいただきましたので、企画開催した講座です。
講座の特徴は、人数限定で参加してくださった方々により内容の濃い、そしてそれぞれの病院の課題に対して個別にアドバイスができるように企画しております。
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このたび、どんな公開講座なのかを皆様にご覧いただきたく、動画公開となりました。
こちらからご覧いただけます。 ⇒ https://youtu.be/YC5vqdQcnZc
◆◇ こんな感じで公開講座してます! ◇◆ (こちらは静止画です(^_^;)
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今回公開する動画は、「人事評価は仕事の自己点検」についてのカットです。
今後、人事評価に関する重要ポイントをピックアップして、随時動画をアップしてまいります。
弊社の提供しているプログラムが、皆様のご参考になればと思います。
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