絶対評価と相対評価、それぞれの特徴(人事評価シリーズ9)
2018年08月25日
人事評価の方法に、「絶対評価」と「相対評価」があります。
簡単に言うと、「絶対評価」は、スタッフ一人ひとりを統一基準に照らし合わせる評価方法です。
例えば、点であれ70~80点であればB評価、81~90点であればA評価というように、獲得した点数によって
評価を決める方法です。
「相対評価」は、評価対象のスタッフ全員を比較し、序列をつける評価方法です。
高い点数を獲得したスタッフから低い点数のスタッフを順番に並べて、上位5名までがA評価、上位6~10名までがB評価というように
評価を決める方法です。
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よく「相対評価」より「絶対評価」がよい!のように言われることがありますが、
決してそういうことではありません。
どちらがよいということではなく、2つの評価方法には向き不向きがあるのです。
「絶対評価」は、スタッフを期待値などの基準に照らし合わせて、
○期待値に達成していることは更にブラッシュアップする
○期待値に達成していないことは、到達できるよう指導、サポートする
ことができますので、スタッフの個別育成に向いています。
「相対評価」は、順番付けの評価になりますので、「1番」になりたいという意欲があるスタッフの
競争力を高めることに向いています。
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よって、人材育成を目的とした人事評価制度であれば、絶対評価で評価すべきです。
一方で、1番頑張った人に賞与をたくさん加算したい!というのであれば、相対評価で順番付けして、
賞与の支給配分を決めるということになるでしょう。
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因みに、私が小学生だった頃の通信簿は「相対評価」でした。
各科目で、A評価、B評価、C評価の人数が決められていたそうです。
しかし、現在の小学校の通信簿は、「絶対評価」で評価されています。
そのため、毎年学校では、「○○ができればA評価」というように保護者に対して説明会があります。
これが照らし合わせる基準ということですね。
よく、「今の子どもたちは競争心がない」と言われている所以は、
絶対評価での個別育成であるため、競争する機会が少なくなっているということなのでしょうね。
評価項目は、組織の期待値でありモデル(人事評価シリーズ8)
2018年08月22日
皆さんの組織の人事評価表、どのような項目で構成されているでしょうか。
仕事の質、仕事の量、知識、技術、規律性、責任感、コミュニケーション力、理解力、指導力・・・など、
それなりに多くの項目で構成されていることと思います。
一方で、評価者からは、こんなにたくさんの項目を評価するのは大変!という声が聞かれるのも現実・・・
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実はこの評価項目、やみくもにたくさん並べられているわけではありません。
人事評価表の項目は、その組織のスタッフに「こうあってほしい!」という希望、
「こんなことができるスタッフになってほしいな」という期待値が込められているのです。
更に、その希望や期待値は、社会人として組織人として、仕事をする上でバランスよくいろんなことを
身につけてほしいという項目で構成されているのです。
要は、組織の「できるスタッフモデル」といったところでしょうか。
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一般的に、人事評価表は、次の3つ区分で各項目が設定されています。
①与えられた仕事、役割が正しく実践できているか(「成績評価、業務成績評価」などと言われます)
⇒ 評価表の項目では、「仕事の質」、「仕事の量」、「役割の遂行度」など
②仕事をするときの態度や姿勢、意欲は一生懸命さが行動に表れているか(「行動評価、情意評価、勤務態度評価」などと言われます
⇒ 評価表の項目ではい、「規律性」、「責任感」、「積極性」、「協調性」など
③仕事をするときに必要な知識や技術、スキルが身についているか(「能力評価」などと言われます)
⇒ 評価表の項目では、「知識技術技能」、「理解力」、「伝達力」、「コミュニケーション力」、「情報処理力」など
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①、②、③のことがすべてできるスタッフがいたらどうでしょうか。
とてもバランスよくできるスタッフだと思いませんか?
①(業務実践が○)、③(スキルが高い○)が、②(態度や意欲がよくない×)・・・も問題です。
よくあることですが、スキルも高く、自分の仕事はしっかりとこなすのですが、他者との協力(協調性)ができなかったり、
規則やきまりをないがしろにする(規律性)のであれば、共に仕事をする仲間としては難しいと思いませんか。
①(業務実践が○)と②(態度や意欲がよい)が、③(スキルが低い)・・・も問題です。
スキルが低いということは、とりあえず仕事を終わらせることができたとしても、仕事をする上での知識や技術がなく、
根拠を持って仕事に臨んでいないことになります。
特に医療の現場では、業務実践の元である知識や技術は必須のことであり、それが疎かになっていることは、
いずれ事故を招きかねないという危険性があるからです。
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まずは、皆さんの職場の人事評価表の項目を改めて確認してみましょう。
人事評価表は、組織が自分に求めていることなのだという意識、認識を持つこと、とても大切だと思います。
複数の評価者の必要性(人事評価シリーズ7)
2018年08月16日
人事評価シリーズも第7弾!
今回は、「複数の評価者の必要性」についてお伝えします。
一般的に、一人の被評価者(評価される側)に対して、2名~3名の評価者を設定します。
被評価者の直属の上司が一次評価者、その上の上司が二次評価者、さらにその上の上司が三次評価者といった具合です。
(私がフィールドにしている病院では、三次評価者は、被評価者の具体的な仕事行動を観ることが少ないので、設定しなくなりましたが・・・)
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さて、では、複数の評価者を設定することにどのような意味があるのでしょうか。
1.複数の”目”で観ることにより、被評価者の優れいている点、認められる点、見本となる点など多くを引き出す
2.正してほしい点など仕事や行動、態度の改善点が一人の評価者だけの視点になっていないかを複数の視点で確認する
以上の2つの意味があります。
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私たちは、仕事をするとき、それぞれ大事にしていること、つまり仕事への価値観があると思うのです。
例えば、病院であれば、患者さんファーストで仕事をする人もいれば、患者さんファーストよりも仕事効率を重視する人もいます。
コスト重視の人もいれば、サービス充実重視の人もいます。
それぞれの仕事に対する価値観の違いは、評価者と被評価者の間にも介在します。
価値観の違いは、評価結果にも現れる可能性があるため、単一的な価値観だけではなく、
複数の価値観から被評価者を観るということは大切なことなのです。
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複数の評価者を設定するのは、
一方に偏った考え方、価値観で観るのではなく、複数の価値観から被評価者を観ることにより、
評価結果の信頼性も担保していることにもなっているのです。
評価実施時に気をつけたい3つのこと(人事評価シリーズ6)
2018年08月11日
評価者が従業員の評価を実施するとき、評価された側にその結果をできるだけ
受入れてもらえるよう、その努力は必要です。
また、正しい方法で評価をしたという評価者としての自信も必要でしょう。
正しい方法で評価をしたという自信があれば、被評価者に対して、
堂々と説明できるからです。
では、正しい方法とはどのようなことなのでしょうか。
各組織の人事評価制度の規定や実施要領に従うことはもちろんなのですが、
それ以外に「気をつけたい3つのこと」があります。
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1:従業員の実際の行動を観たという事実を評価します
👉 噂や推測、憶測、印象を評価に反映させてはいけません
2:「実際の行動」は仕事に関することだけで評価します
👉 評価者は、従業員の仕事を管理する役割ですので、
仕事がきちんと進められているかの点検として評価するのです
3:評価できる「実際の行動」は、決められた評価期間の行動だけです
👉 評価は仕事の点検ですから、過去のことを掘り返して評価する必要はありません
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「気をつけたい3つのこと」は、評価結果の信頼性、客観性、妥当性を担保するためです。
評価者は、評価表を目の前にしたとき、この「3つのことを気をつけよう」を思い出してみて下さい。
被評価者に評価結果について、自信をもって説明できる要素が増えるかもしれませんよ。
キャリアパス制度運用点検講座 開催のご案内
2018年08月06日
『介護施設のためのキャリアパス制度運用点検講座』(8施設限定!)のご案内
◆ 日 時: 2018年10月5日(金) 10:30~16:00(休憩1時間含む)
◆ 会 場: 八戸市総合福祉会館 「はちふくプラザねじょう」(青森県八戸市根城八丁目8-155)
◆ 受講料: 8,400円(税込み)
※書籍「キャリアパスのつくり方・動かし方」(出版:東京都社会福祉協議会 1,400円税別)付き
◆ 講 師: 下田 静香(株式会社エイトドア代表取締役)
【ご案内】
キャリアパス制度の本来の目的は、
☑ 職員一人ひとりの個別的な人材の育成
☑ 介護の質の向上とともに利用者サービスの向上
☑ 中長期にわたる個人の育成と施設運営の維持 です。
介護職員処遇改善加算申請でキャリアパス制度を、取り急ぎ構築した施設は少なくありません。しかし、キャリアパス制度の目的を改めて確認し、自施設でどのように運用し、その効果を高めるかを考える機会として、本講座を企画いたしました。
今一度、職員を育てる制度、施設運営が維持できる制度として現状のキャリアパス制度の運用状況を点検してみませんか?
【本講座のプログラム】
1.キャリアパス実行度チェック
2.運用点検ポイント
(等級制度、人事評価、役職任用、目標管理、給与制度他)
3.給与制度とキャリアパス~反映ポイントと事例紹介
4.キャリアパスと人材育成、モチベーション管理、人材の確保と定着
5.自施設キャリアパスで何を目指すか~目的の点検
※『介護施設のためのキャリアパスのつくり方・動かし方』(出版:東京都社会福祉協議会 執筆:下田静香)をテキストとして使用します。
【お申し込み方法】
本ホームページのお問い合わせからお申し込みいただくか、info@8-door.jpにご連絡ください。
折り返し、こちらから手続きについてご案内いたします。
八戸三社大祭~八戸の夏~
2018年08月04日
東北地方は夏祭り真っ盛りです。
青森県内も有名な青森市のねぶた、弘前市のねぷた、五所川原市の立ちねぶた・・・
そして我がふるさとの八戸三社大祭!
7月31日から本日まで開催されています。
八戸三社大祭は、大きく、そして華やかな山車が市街地を練り歩きます。
因みに2016年、ユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」として登録されています。
八戸三社大祭の歴史、豪華絢爛な山車、是非こちら↓のサイトからご覧ください♪
実物は、まさに「豪華絢爛☆」! 八戸の夏!
私が、子どもの頃と比べると、山車の大きさ、華やかさは格段にレベルアップ⤴
山車を見るために、ピクニックシートを歩道に敷いて、見入ったものです。
見応え抜群な八戸三社大祭。
一度は観る価値ありますよ♪
評価結果は、何に活用するのか(人事評価シリーズ5)
2018年08月03日
人事評価をするのであれば、あらかじめ、その結果を何に使うのか(活用)を従業員に明らかにしておくべきだと思います。
なぜならば、誰しもが他者に評価されることは気持ちいいことではありません。
何のために評価をするのか、その結果を何に使うのかを知った上であれば、
また、その使われ方に納得できるのであれば、評価されることも致し方ないという考えになるかもしれないからです。
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そこで、人事評価の結果は主に2通りの使われ方(活用)をします。
1つ目は、言うまでもなく「人材育成」です。
評価は、「仕事の点検作業」です。点検結果を使って、行動改善、職務改善を促し、
よりよい行動、成果を導くことに使います。
2つ目は、「処遇への反映」です。
処遇とは、賞与、昇給、等級昇格、役職任用などです。
評価の結果がよかった従業員に対して、限られた人件費を処遇決定を通じて、
どのように配分するのかに使われます。
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ところが、「人材育成」は大義名分でも本気でも伝えるのは容易ですが、
「処遇への反映」は、”お金”が絡むことですので、
どうしても不透明になりがちです。
それでも、今は透明性(公開)が求められる時代ですから、
人事評価の結果が何に使われるのか(特に処遇)は、明確にしておくべきことだと思います。
明確にすることが、組織への信頼性の担保になりますし、
組織として、従業員が一生懸命に取り組んでくれている評価制度とその結果に対して、
きちんと使ってくれているというもう一つの信頼性につながると思います。
皆さんの組織は、評価結果が何に使われるのか、従業員に示していますか?
人事評価制度は全従業員で取り組む制度(人事評価シリーズ4)
2018年08月01日
人事評価制度は、評価者に物理的(作業時間など)にも心理的にも負担のかかる制度です。
しかし、評価者だけが頑張る制度でもありません。
評価制度は、本来、従業員一人ひとりの育成を考えた制度ですから、
評価者だけが取り組むのではなく、被評価者(職員一人ひとり)が主体的に取り組む制度なんです。
評価制度を実効性のある制度として動かすのであれば、
①評価者 ②被評価者 ③人事担当者 ④経営者
4者それぞれが役割をもって取り組むべきと考えます。
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では、それぞれの役割とは・・・
①評価者
☞ 自分の組織の評価制度の概要を理解し、スタッフに説明できるようにすること
☞ 制度で使いづらいことは、人事担当者に意見を言うこと
☞ 評価制度が自部署にとって、どのようなメリット・デメリットがあるのかを押さえておくこと
②被評価者
☞ 嫌いな制度であっても、自分の組織の評価制度の概要を理解しようと努めること
☞ 自分にとってどのようなメリットがあるのかを考えてみること
☞ 自分の評価(自己評価)を他者に説明できること
③人事担当者
☞ 現場の意見(評価者・被評価者)を聞き続けること
☞ 意見を制度に反映させること、反映させたことを現場に発信(説明)すること
☞ 従業員にとって常に公平な制度であるか検証すること
④経営者
☞ 組織にとっての評価制度の必要性、方向性を示すこと
☞ 評価制度を導入、運用することによって、誰がどうなってほしいのかを言い続けること
☞ 制度運用を諦めないこと
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このように、評価制度は従業員一人ひとりがそれぞれの役割を認識し、
自立的に取り組むことで成果がでる制度なのです。
評価者だけが負担を抱えてしまうと、余計に進まなくなる制度です。
それぞれの役割認識を推進することも制度取り組みの一つなのです。
7/31付 デーリー東北紙にコラム「私見創見」が掲載
2018年07月31日
組織が職員に求めることを表現したのが、人事評価表です(人事評価シリーズ3)
2018年07月24日
人事評価表の着眼点は、それぞれの病院によって異なります。
ただ、着眼点の表現が違うだけで、内容はだいたい同じです。
例えば、「身だしなみはきちんとしているか」、「担当業務にミスはなく、締切りを守っているか」
「仕事に必要な知識や技術を身につける努力をしているか」、
「他部署。他メンバーと協力を得ながら仕事進めているか」などなど。
これは、病院だけに求められることでしょうか。
どこの病院でも、いえ、一般企業でも求められることだと思いませんか。
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つまり、人事評価表に書かれていることは、社会人として組織の一員として、
どこで働くにしても必要なスキル、行動や態度、意欲であるということなのです。
どんなに専門知識、技術を兼ね備えているとしても、
人事評価表に書かれているようなことが出来ていなければ、
どの組織に属していても、通用しないということなのです。
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ただ、どの病院も職員に求めることが全く同じというわけではありません。
そこで立ち戻るのが、それぞれの病院の理念、行動指針、当面の方向性です。
だいたい似ている人事評価表とはいえ、組織が何を大切にしているかに応じて、
人事評価表の文言が変わってきます。
また、着眼点の順番も大事にしたいことの順番で表記することもあります。
いずれにしても、人事評価表の着眼点は、
病院が職員に対して、「こうあってほしい」という希望であり期待であるということです。
着眼点をじっくりと読んでみませんか。
今いる病院が何を自分に求めているのか、改めて感じることができるかもしれません。